【人に頼む技術とは、人を動かす技術でもあるのだ】
私たちが何かを成し遂げるには、自分以外の誰かの力が必要不可欠である。
そんなとき、どうやって協力を仰げば助けてもらえるのか、ちゃんと知っておくのはとても大切なことである。
目次
書籍紹介
【タイトル】人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学
【著者】ハイディ・グラント 訳 児島修
著者は社会心理学者のハイディ・グラント。なぜ私たちは頼みごとが難しいと感じるのか、社会心理学の視点から解説しています。
本書の第1部では、なぜ頼みごとをするのが難しいのかを
第2部では、良い頼み方と悪い頼み方を
第3部では、人を動かすための3つの力を紹介しています。
私たちが思っている以上に、人は誰かを助けたいと思っています。
しかし、多くの場合、私たちは相手が「コントロールされている」と感じるような形で頼みごとをしてしまいがちです。
その結果、相手の自主的な気持ちが損なわれ、人を助けることで得られる良い気分を感じにくくさせてしまっているのです。
ちょっとしたコツで、頼み事は格段に楽になります!
人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学 第1部 第1章より
本著の要約・抜粋
誰かに頼るのを気まずく感じる理由
私たちは頼みごとをする際に、ある種の苦痛を感じている。それは「社会的痛み」と呼ばれ、身体が感じる痛みと同じように、私たちの脳は他者とのかかわりから生じる不快感を処理していると言われている。
相手に頼るということは
- ステータスへの脅威 (頼ることで軽蔑されるのではないかという恐怖)
- 確実性への脅威 (頼みを受け入れてくれないのではないかという予測)
- 自立性への脅威 (期待した助けでなくても受け入れなくてはならないという負担)
- 関係性への脅威 (ノーと断られた時の拒絶感)
- 公平性の脅威 (助けてもらえない=公平に扱われていないという感覚)
を同時に体験する可能性があり、この「頼み事で感じる苦痛」は身体的な苦痛と同等なものである。
故に、人は誰かに助けを求めたがらないのだと思われる。
人に助けを求めるための具体的な方法
- 相手に気づかせる
- 助けを求めていると相手に確信させる
- 助ける側に責任を負わせる
- 助ける余裕のある人に助けを求める
必要な助けを得るには、まず相手に「自分が困っている」ということを伝えなければいけない。そもそも困っていることに気づかなければ、助けるという発想には至らないからだ。私たちは「言わなくても分かるだろう」と考えがち(透明性の錯覚)だが、ほとんどの人はあなたが助けを求めていることに気が付かない。
また、「あなたに助けを求めている」とはっきり示すことも重要である。誰か助けて!だと「他にも人がいるし別にいいかな」と結局誰にも助けてもらえない可能性がある(傍観者効果)。
積極的に助けてもらうにはどうすればいいか
- 仲間意識を活用する
- 相手の自尊心を刺激する
- 助けたことへの有効性を示す
同じ集団に属しているという「仲間意識」があると、人は相手を助けたいという動機が生じる。「同じチームに属している」「同じ目標を目指している」といった共通点があると、助けてもらいやすくなる。
「自分は善い行いをしている」と相手に感じさせるのも、有効な手段の一つである。相手の自尊心を高めるような形で頼みごとができれば、積極的に助けてもらえるようになるだろう。
自分が助けた結果、どんな影響があったかという手ごたえは、私たちの「助けたい」という思いをさらに後押しする。相手に感謝を伝える際は、助けてもらった結果どうなったかを知らせるといい。
書籍情報
【書籍名】人に頼む技術 コロンビア大学の嫌な顔されずに人を動かす科学
【著者名】ハイディ・グラント
【出版社】徳間書店
【出版日】2019/5/24
【頁 数】232ページ
【目 次】
第1章 誰かに何かを頼むのを気まずく感じる理由
第2章 なぜ“頼んでも断られるだろう”と思うのか
第3章 “頼み事をしたら嫌がられるかもしれない”という誤解
第4章 “助けを求めること”が抱える矛盾
第5章 必要な助けを得るための四つのステップ
第6章 こんな頼み方をしてはいけない
第7章 「仲間意識」を活用する
第8章 「自尊心」を刺激する
第9章 「有効性」を感じさせる