自分が困っていても、周りに上手く助けを求めることができない人っていますよね。
一人で抱え込んじゃって、どうにもならなくなって爆発する人。
私もお願いするのは得意な方じゃないので、気持ちは良く分かります。
でも、お願いできないままじゃ、何の解決にもならないですよね?
どうにかしたいと思いませんか?
実はあるんです。
相手に嫌な顔をされずに上手に助けてもらう方法が。
これを知れば、きっとあなたも相手を頼れるようになるはず。
それでは、見ていきましょう。
目次
人はなぜ助けを求めたがらないのか

ミルグラムが1970年代に行った「地下鉄実験」
ひとつ、人に頼みごとをするという点で、面白い実験を紹介しましょう。
1970年代にスタンレー・ミルグラムという心理学者が、地下鉄で乗客に席を譲ってもらうという実験をしました。
被験者は大学院生で、席を譲ってほしいと頼んだ結果、乗客の68%が席を譲ってくれました。
ここまでは特に変わりのない実験でしたが、被験者に感想を聞いてみると、興味深いことが分かりました。
被験者の一人は
「(乗客に)声をかけたとき、私が顔面蒼白になり、気絶しそうになっていたので、男性は飛び上がるようにして席を譲ってくれた」
と話したのです。
さすがにそれは大袈裟だろうと怪しんだミルグラムも、実際に自分で席を譲ってもらおうしました。結果
彼曰く、「声が出てこず身体が麻痺したようだった。席を譲ってもらった後は、(席を譲ってもらったことに対して)正当性があるように見せかけなければいけない、と死にそうな気持ちになっていた」
とのことでした。
「乗客に席を譲ってもらうという些細な頼み事でも、想像するだけで人は不快な気持ちになる」のです。
人に頼みごとをするのは苦痛を伴う
ミルグラムの実験でも分かった通り、人に頼みごとをするのは基本的に苦痛を伴います。
ですが、頼みごとができない理由はそれだけではありません。
私たちはそもそも、「こうすればあの人は助けてくれるだろう」ということを、間違って考えています。
人を助けるということは良い気分になりますが、それは「自分が自ら進んで助けたい」と思った時だけです。例えば、申し訳なさそうに頼みごとをされると、「助けたい」という主体的な感覚が「この人を助けなければいけない」という義務感に変わり、良い気分ではいられなくなります。
かといって、困っていることを伝えないのはもっといけません。もしあなたが「周りの人はなぜ助けてくれないのだろう」と考えているのなら、あなたが困っているという事実が、周囲に伝わっていない可能性があります。
助けてほしければ、あなたが何を必要としていて、どうしてほしいのか、周囲の人に上手く働きかけなければいけないのです。
正しい助けの求め方

あなたが必要としている助けを得るには、正しいステップを踏む必要があります。
- 相手に気づいてもらう
- 助けを必要としていると相手に確信させる
- 助ける側に責任を負ってもらう
- 助ける余裕のある人に助けを求める
相手に気づいてもらう
一つ目は、「相手に気づいてもらう」です。
気づいてもらわなければ、助けてもらえないのは当然ですが、意外とここの主張が足りていません。人は自分のことでいっぱいですし、周囲の情報量も多いので、困っている人がいても注意を払うことはあまりありません。
助けを必要としていると相手に確信させる
二つ目は、「助けを必要としていると相手に確信させる」です。
本当に困っているかどうか確信が持てなければ、周囲は助けようとしません。余計なおせっかいで恥をかきたくないからです。人は他人の心を読めませんので、助けてほしければ「助けて!」としっかり主張しなければいけません。
助ける側に責任を負ってもらう
三つめは、「助ける側に責任を負ってもらう」です。
自分の他にもたくさんの人がいると、自分が助けなくても大丈夫という「傍観者効果」を生んでしまいます。傍観者効果を防ぐためには、不特定多数の「誰か」に助けを求めるのではなく、個人の「誰に」助けを求めるか明確にする必要があります。
助ける余裕のある人に助けを求める
四つ目は、「助ける余裕のある人に助けを求める」です。
助けを求めるなら相手の負担も考えなければいけません。忙しければ当然、あなたに割く時間はないでしょう。時間がない人に助けてほしいなら「求めていることをはっきり伝える」「妥当な量で我慢」「満足できなくても受け入れる」など、あなたが工夫して助けを求める必要があるでしょう。
頼みごとをする際にやってはいけないこと

頼みごとでやってはいけないこともあります。下記のパターンは相手の自主性を義務に変え、助けたいという気持ちを削いでしまいます。
- 楽しさを強調する
- ひたすら謝る
- 頼みごとが小さいものであるとアピールする
- 借りがあることを思い出させる
楽しさを強調する
「一緒にこれやってくれない?」「きっと楽しいよ」と、頼みごとの内容がいかに楽しいかを強調するのは逆効果です。
頼みごとが楽しいものか決めるのは、あくまで相手であり、あなたではありません。メリットを押し付ければ、相手はコントロールされているように感じ、興ざめしてしまいます。
人助けでハッピーになるのは、自主的に助けるときだけです。
ひたすら謝る
頼みごとをするなら「ひたすら謝る」のも避けましょう。
頼まれている側は気分のいいものではありませんし、さっさと片付けてしまおうと義務感で処理してしまいます。
助けてもらったら、謝るのではなく感謝を示しましょう。
頼みごとが小さいものであるとアピールする
相手に断られるかもしれないという不安から、「大したことじゃないから大丈夫」と些細なことであるかのように伝えるのはやめましょう。
相手の労力を小さく見積もりすぎれば、たとえ今回は頼みごとを聞いてくれても、次はないかもしれません。
借りがあることを思い出させる
「あの時あれやってあげたよね?」と、借りがあることを主張するのも厳禁です。
コントロールされたような感覚を相手にもたらし、良い気分を阻害するからです。
人間関係による損得勘定は、基本的に良くない影響を生じさせるでしょう。
まとめ
多くの人が悩んでいるように、人に助けを求めるのは難しいことです。
自分が困っていると主張するのは怖いですし、不安ですよね。
でも、大丈夫です。
人は私たちが思っているより、「2倍」誰かを助けたがっているそうです。
頼みが受け入れてもらえる可能性は、私たちが思っているよりずっと高いのかもしれませんね。